田原あゆみ エッセイ

眼差し

田原あゆみ エッセイ

ずっと会いたかった。

期待して、小道を歩いた。

彼らが歩いた記憶を湛えた石畳の村の道。

角を曲がるたびに探したけれど会えなくて。

さよならをいう日に見つけた彼は、ただただ私をじっと見つめた。

車を降りて、話しかけながらそばに行ってできたら触ってみたかったけれどお世話になった人々を気兼ねをした私はただ窓から見つめるだけ。

「あんた誰?なぜ私を見る?」

「ただ好きなのよ、ロバが。会いたかった」

「・・・・用がなかったらさ、消えて。気になるからさ」

私の中のロバはクールだ。

滑稽で、可愛くて、歯をひん剥いて笑いそうな口元、優しそうな目・・・・いつか一緒に暮らしてみたい。