田原あゆみ エッセイ

友人の犬

田原あゆみ エッセイ

友人の犬

たまに会う友人の犬。

たまにしか会わないのに、うちの犬と過ごすときよりもともに過ごす時間が長い。

海辺を歩き回ったり、台所でお料理をするとき、畑に行って収穫するとき、バール遊びをするときも、片時もそばを離れないから。

私は彼女の名前を呼んで、目を覗き込む。そしておでこをくっつけて挨拶をする。

獣の匂いと、友人の匂いが混ざっていて、うちの子達とは匂いが違う。

人片時も離れず一緒にいる、そんな匂いがするんだよ。

私はこのこと自然の中でくっついたり離れたりして過ごしながら、うちに残してきた子達を思ってごめんね、って思う。

目の前のこの子がかわいくて、両手で撫でながらうちの子達を思い出して、ごめんね一緒に入れなくて、そう思っている。

家に帰ったら、そこは今では仕事場で、彼らはその庭のある一軒家のギャラリーの守り番。私は彼らと別々に住んでいる。帰るときに、ごめんね。同じ敷地内にいるのに足元に置けなくてごめんね。

私と一緒にいたくって、家の中をくっついて回った彼らを置いて私は好きなことをやっている。旅にも行く。

だから他所で可愛い彼らを撫でるとき、やっぱりごめんねと彼らを思う。

私の気持ちはいつでも彼らとともにいる。なのに謝ってばかり。

人の人生は複雑だ。

私はきっとダメな飼い主だ。私はそれでも知っている。彼らが私を許していることを。

いつだって、私が大好きだということも。